緑色の小さな蛙

いつも

死にたいと思って生きてきた

緑の小さな蛙

何があったのでしょうね

この子に

どんなことがあったのでしょうね

ずっと

気づいたころから

そう思って生きている

生きる意味が分からない

未来が在るなんて思えない

今日死んでもいい

今日で終わってもいいって

本当に

思い生きてきた

蛙なんです

でもね

ある日

この蛙

蛇に追われ

食べられそうになって

初めて気づいたんです

逃げた自分が居た

死が見えて気づく

生きていたい

その思い

いっそ

このまま

くれてやったら良いのに

いっそ

丸のみにされても

構わないのに

そんな思いを持つ自分と

逃げた自分

自分の中の矛盾に気付く

地を蹴り上げ

逃げる動きが

蛙の想いを

反転させる

だったらいっそ

だったらいっそ

このまま

生きていたい

生きる実感を

地を蹴り上げ

少しでも空へと近づく事で

感じてみたかったな

だったらいっそ

生きていたい

その実感を

目を覚まし

朝露に濡れる葉に

差し出してみたかったな

生きる喜びを

生きる幸せを

普通に感じてみたかったな

張り裂けそうな鼓動が

小さな胸に響き渡る

砂埃と共に

地を逃げる

一瞬が

続く命となり

一瞬が

消える命となる

生きていたい

今そう思う

身体中で

そう思う

もし

逃げる事ができたなら

一つでも

生きるために

喜びをみつけるよ

幸せの匂いを

いつもの場所で探してみるよ

蛙の願い

そうして

一つ大きく

深呼吸すると

その

緑色の小さな蛙は

今までで一番力強く

地を蹴り上げた