あの曲がり角
確かに
あったの
あの曲がり角に
ずっと前から
沈丁花が咲く場所
春が来る時に
香りも一緒にやってくる
あの曲がり角
まだ
風の中に
寒さみたいなものが
一欠片
しがみついている
そんな春の夕暮れ
橙色の明かりが
溢れる
家家を
通り過ぎるたび
帰れる場所と
帰れない場所が
在ることを
実感しながら
曲がった
あの
曲がり角
出来るだけの
沈丁花の香りを
吸い込んだら
この場所を
私の
帰る場所だと
思い込んでも
許されるかもしれない
そう
思いながら
幾度も曲がった
あの曲がり角
でも
今はない
この世界の中に在る
唯一の不変は変化
時と共に
形を変え
無くなるもの
それが
この世界に
在るものです
今は無い曲がり角
あの頃の私には
無くてはならない場所
でも
今は
欲しがらなくなった場所
私の過去の場所
今は無いけど
昔に在った
私の帰る場所
対のお相手に出逢った
あなたは
帰る場所に困らない
ずっと在る場所を
お相手の中に見つけたからです
魂が落ち着く場所
魂が
この世界で
同じ魂に寄り添える
唯一の場所
あなたが
小さい頃から探していた
場所って
そこ
もう迷子にはならないね
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